2009年10月16日金曜日

コーヒーチェーンにて。

「実は、今日が最後なんですよ」。

いつも出社前にコーヒーを飲んでいるタリーズコーヒーにいつものように足を運ぶと、てきぱきと気持ちよくお客さん対応をする店長さんらしき人から、注文の際にこのように伝えられた。

この店長さんらしき人は、見た目の年齢は20代後半ぐらいに見えるが、とてもしっかりしているので、実際にはもっともっと年上の人かも知れない。

声が大きく、店内によく通る声で挨拶する。

「ありがとうございました!いってらっしゃいませ!」

実は、この店に通うようになる前は、向かいにある別のチェーン店に行ってコーヒーを飲んでいた。それは、その後電車にのるのにそっちの店の方が駅に近いからである。しかし、あるときタリーズコーヒーに来てみると、この店長さんの対応がとても気持ちよかったため、それ以来こちらのお店にくるようになっていたのだ。

タリーズコーヒーでの接客業は、決して複雑なことをもとめられるものではないだろう。入ってくるお客様を迎え、注文をとり、会計をすまし、コーヒーを入れる。それぐらいの工程である。しかし、この店長さんがやると、他のバイトの人とは、明らかに違う。これだけの工程のものなのに、これ程までに差が出るものか、と思わせる程だ。そして客足が弱まると、バイトの店員さんにいろいろと指導を行っているが、これを聞いていると、店長さんがいかにサービスの細かいところに気を配っているかがわかる。

しかしだ。「今日が最後なんですよ」という言葉を聞いて、「そうなんですか!それは残念です」と思わず言ったものの、その瞬間、「この人は実はバイトだったのだろうか。だとしたら、いったいどんなバイトの人だろう」と思っていた。サービスやブランド理論の本を読むと、いろんな素晴らしい例が出てくる。素晴らしい例の共通点というのは、コーヒーチェーンの店員でも、バスのドライバーでも、だいたい自分の仕事をそのような枠にはめて考えるのではなく、自分のミッションを定義しなおして行動できる、というところにある。この店長さん、あるいはバイトの方は、まさにそういう人なんだろう。

「いつも本当にどうもありがとうございました。またいつかどこかで何かをはじめられる時はぜひご連絡ください。いつでも顔を出しますので」。

といって、自分の名刺を帰り際にお渡しし、そのまま会社へと向かったのであった。

2009年10月6日火曜日

日本女子オープンゴルフ


一昨日の土曜日に、日本女子オープンゴルフ選手権を見に行って来た。

女子ゴルフは現在スター選手揃いで見所が満載。今回も今年アメリカで勝った宮里藍ちゃんはじめ、上田桃子、横峯さくら、今年6勝の諸見里しのぶ、古閑美穂、今年3勝の有村智恵など。スタート時間に合わせて選手が順番に練習場に姿を表すと、それだけでギャラリーも沸く。こっちも朝早くから行って、練習場の一番前に陣取り、各選手のスイングをしっかりチェックした。

しかしさすが日本一を決める大会の決勝ラウンド、どの選手も本当に素晴らしいボールを打っている。クラブが上から入って来て、ボールをクリーンにヒットするその打ち方は、アマチュアとは全く違うといってよい。しかも下半身が静かで、インパクトまでが本当に丁寧に入ってくるので、ショットが全くブレない。

しかし今回びっくりしたのは、何と言っても韓国勢の多さだ。結局優勝も韓国のソンボベ選手が勝ち取っただけでなく、ローアマ(アマチュアの1位)も韓国の高校生が取って行ったが、それ以外にも、昨年度の優勝者である李知姫、今年の全米オープンチャンピオンであるチウンヒなど。それ以外にも、それ程知られてないが、シンヒョンジュや黄アルムなどがいて、本当に素晴らしいスイングでボールを打っている。韓国勢を見て思ったのは、ひとつに皆身体が大きいこと。優勝したソンボベはじめ李知姫も170cm級である(だから、ボールもかなり飛ぶ)。それに比べて、優勝を逃した横峯さくらや宮里藍などは155cmなので、並ぶと二周りぐらい小さく見えてしまう。

そんな韓国勢の中で、最も凄いなあと思ったのは、今年日本で3勝している全美貞(ジョンミジョン)。まず、彼女はテレビで見るより遥かに大きい。身長は175cmで、一緒に回った日本の飛ばし屋三塚優子(172cm)と並んでも一周り大きく見える。彼女のスイングはこの長身を活かしたゆったりとしたもので、ウェッジからドライバーまで一定のリズムでボールをヒットする。アドレスはどっしりとしていて完璧なアラインメント。ここからテイクアウェーは上半身主導で捻って行くが、トップでのクラブの位置が完璧。さらに、トップからの切り返しのタイミングが絶妙で、下半身主導のダウンスイングに入る一瞬のタメのつくり方には、惚れ惚れする。男子ゴルフでいうと、アーニーエルスを彷彿とさせる美しいスイングだ。

今回は全美貞について18ホールのプレーをみたが、軽く放つショットがどれも素晴らしく正確であり、ラフやクロスバンカーからも正確にグリーンを捉えるショットメーキング技術には本当に感嘆するばかり。結果は68の4アンダーであったが、パットがもう少し入れば7アンダーの65は軽く行けたであろう、といった内容のプレー。今回は上位に食い込むことができなかったが、これから後半戦、必ず優勝争いに加わってくる選手だ。

現在女子ゴルフの世界では、米女子ゴルフツアーも韓国勢が完全に席巻している状態。何故韓国勢が急にこんなにも強くなったのか、その理由は分からないが、とにかく韓国勢は強い。メンタルに強いこともあるだろうが、技術がしっかりしている。今後米ツアーは不況でスポンサーが減ること考えると、これからもっともっと韓国勢が日本でプレーすることになるだろう。ゴルフ界における韓国勢の躍進はまだまだこれからかも知れない。