2010年5月2日日曜日

サロンdeリオ:L.A. Miracle

久しぶりのサロンdeリオを先週末に急遽開催。今回のメンバーは、常連の政策秘書H氏、国際金融マンのK氏、以前も参加頂いていて、最近ロシア担当から有名小説家担当に変更となったジャーナリストのK女史。それからK氏のロシア人脈で自分もモスクワでお会いしていたM女史、元ロシア語専攻のM女史と、ロシア語が第二外国語のN女史。ということで、図らずもロシアに多かれ少なかれ関心のあるメンバーが揃った。

料理の方はつまみがオランダチーズと今が旬の空豆。プリモは、春キャベツを使ったリゾット。リゾットは出汁がポイントとなるが、これは鶏ガラをつかってスープを取っておいた。メインは、(自称)「モロッコ風チキン(a la salon de rio)」。鶏のもも肉を、コリアンダー、クミン、など各種スパイスをまぶしてワインでつけ込んで、それをハーブ、オニオン、ガーリック、ペッパーを入れて、トマトで煮込んだもの。スパイスとトマト煮込みによるインパクトのある風味がエキゾチックなモロッコ風。ちなみに、私はモロッコには行った事がない。
しかし、実際モロッコにいけば必ずやこのようなテーストのチキン料理があると信じている(笑)。それとM女史からは、吉祥寺のカフェロシアのピロシキを差し入れとして頂いた。「ピロシキ」は、日本では揚げパンであることが多いが、正式なピロシキは揚げでも、焼きでもどちらでもよい(ロシアでは圧倒的に焼きが主流)。ピロシキは、複数形の言い方で、本当は、「ピラジョーク」というが、パンの中に具が入っているものがピラジョークとなる。しかし、具が入っていれば何でもよいのではなく、正式には、この「形」をしたものがピラジョークなのであり、他の形をした具入りのパンは、別の名前で呼ばれることになっているのである。従って、この写真のピラジョークこそが本当のピラジョークである。勿論味も最高によかった。

それと、デザートには、お菓子づくりの造詣が深いN女史が、SEIJO ALPESのシュークリームを届けて頂き、皆でご馳走になった他、M女史K女史からもいちごを頂き、皆で美味しく頂いた。

さて、今回久しぶりにサロンを開催して楽しい仲間にお集り頂くことができたが、実はその前の週から1週間休暇でロサンゼルスに行っており、この滞在で大きなインスピレーションを得たことが急な呼びかけのきっかけであった。仕事では何度も行った事のあるロサンゼルス。この中心のない広大なスプロール式郊外をいくつものレーンが並ぶフリーウェイで繋ぐ巨大な消費地の集まりが、自分に特別な意味をもったことは、残念ながら、これまでにない。それがわざわざ休暇をとってまで行く事にした理由は、例えばユニバーサルスタジオに行きたかったからではない。Georgetown大学時代の友人の結婚式に招待されたからである。

こうして、先々週の半ばより直行便にのってロサンゼルスに向かい、1週間のロサンゼルス滞在となった。しかし、結婚式に出る以外は、自分にとっては、ハリウッドもディズニーランドも、ショッピングも、正直なところ特段「ワクワク」させるものではない。空港につくや否や、Hertzで車をレンタカーし、フリーウェイをひた走って、何も見る事なくロサンゼルスの街から出てしまった。そして2時間以上車を南東に走らせて向かったのは、フォールブルックにある田舎のオーガニックファームである。

実は、7年頃前に自分は企業のブランド戦略の延長線上と貧困問題への関心からCSRに興味を持ち始めていた。今では信じ難いことであるが、当時新宿の紀伊国屋書店には、CSR関連の書籍はたったの2冊しかなく、そのうちの1冊が「企業評価の新しいモノサシ」だった。今回は、その本の著者でコンサルタントである斎藤槙さんを訪ねるために、このオーガニックファームまで出向いたのである。斎藤槙さんとは、この本をきっかけに、いつからかメールでいろいろアドバイスを頂けるようになった。当時まだ若く、目の前の現実とありたい理想のギャップを埋めようと懸命にもがいていた自分には、現実に押しつぶされずに活き活きと理想を語って仕事をしている斎藤さんとの遣り取りがいつも大きな励ましとなっていたのである。今では、自分のCSRへの考え方も、随分大きく変わってしまった。しかし、この7年間、自分が飛躍できた部分があったとすれば、その大きな原動力の一つは、斎藤さんとの遣り取りから生まれていたと言っていい。その意味で、斎藤さんは自分にとっての恩人である。そのお礼を一言お伝えしたい。そのような思いでフリーウェイをひたすら走り、丘陵地帯
を越えてこの農場についてみると、ちょうど娘さんを近くの幼稚園まで迎えにいって帰って来た斎藤槙さんと7年後にして初めての対面となった。斎藤槙さんは、思っていたよりも、小柄で華奢な女性だった。しかし、想像以上に、元気で明るく、そして心が真っすぐで全く壁を感じさせないオープンな素晴らしい方で、そして本当にアメリカ人のような英語を話す方であった。

さて、この農場、15エーカーの広大な土地で、ワシントン州出身のアンドレアさんが経営するもの。辺り一面自然いっぱいであり、夜にはコヨーテが出没したり、ガラガラヘビも出るという。この土地で、無農薬栽培のオーガニック野菜や果物を出荷して生計を立てている。斎藤槙さんの案内で、農場の桑の実をつまみ、レタスをちぎって食べ、いちごを鱈腹頂いた。新鮮な野菜や果物は本当に美味しい。そして、ここでは養蜂も行っており、本当の100%蜂蜜もここで頂くことができた。毎日、こんなに新鮮な野菜と蜂蜜が食べられるのかと思うと、ここはもう、それだけで自分にとっては、パラダイスも同然であった。さて、夕飯は斎藤槙さん家族と自分、それからもう一人のゲストで、この辺りの不動産を買うために物件を下見に来たペンシルバニア州で水ビジネス会社を経営するアメリカ人の社長さん、それからアンドレアさんのお孫さん達でテーブルを囲むこととなった。大きなキッチンを前に、まさか黙って椅子に座って待っているなどできる筈がなく、自分もキッチンに立って、農場でとれたブロッコリーをつかって、パスタ料理をつくった。

夕飯の食卓、そしてその後も、夜にいちごをたっぷり乗せたアイスクリームを食べながら、そして翌朝の朝食のテーブルでも、もう一人のゲスト、そしてアンドレアさんを含め、この一泊二日の間に、いろんな話をすることとなったが、話題は子供の教育から、食と農業、アメリカの政治、など多岐にわたり、このような体験から受けた刺激が非常に大きなものであったことは、もはや説明不要かと思う。自分は、このような体験を通じて、そして特に斎藤槙さんからも前向きな感想を頂いたこともあり、サロンをもっと頻繁に開催しよう、そして皆と楽しい時間を過ごし、その中で、日本の政治経済や豊かさに関する自らのビジョンや面白いアイディア、それを多くの人に語り、そして周りの意見に耳を傾けよう、そう決めて日本に帰ったのである。このような刺激を受けて帰った後の自分は、まさに豹変したといってよい。目的意識がつよくなったからだろう。生活ががらりと変わった。早朝に起きて毎朝ジョギングをし、朝も夜も自炊の頻度が圧倒的に増え、今まで以上に本や新聞をよく読み、ものを考えるようになった。まさにロサンゼルスの1週間の奇跡である。

というわけで、ここで得たエネルギーをばねに、これからも美味しい食事を楽しみながら、新しいつながり、そして楽しい会話の生まれる会をもっともっと開催していきたいものである。







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