2010年10月8日金曜日

シーボ。

「うーん、おかしいなあ。やっぱり通じてないよ。Expoぐらい通じると思ったんだけどなあ」。

11時を過ぎて万博行きを決め、ホテルのダイニングを飛び出してタクシーを捕まえたはよかったが、Expoが通じない。

「バンパク、バンパク!」

今度は友人が思い切って日本語でそのまま言ってみる。しかし、やはり通じない。
「やっぱりだめか」。

「うん?え?何?What?」。

「おい、何か言ってるよ、このドライバー。何言ってるのかね?」。

「うーん、ダメだ分からない。よし、こうなったら。これを言ってみよう」。

「プーミンバイ!」

「え?何それ?今何て言ったの?」。

「いや、ミンバイって、確か I understandなんだよ。それに「不」をつけて、プーミンバイ。これで I don't understandで通じてる筈だよ」。

「そうなんだ」。

そうしている間もタクシードライバーが半身で後ろを見ながら、何やらいろいろ言っているが、当然のことながら、こっちは何も分からず、自然とこのプーミンバイが連発されるようになってきた。

「プーミンバイ!」

「おい、何か急にドライバー静かになってきてないか?そのさあ「プーミンバイ」って、表現的に本当に大丈夫なのかな?ただ「分かりません」ならいいけどさあ、なんか「全く意味不明!」とかさあ、そんなニュアンスなんじゃないだろうね」。

「え、それって、何、例えばタクシーの運転手が、「どちらに行きたいんですか?次の交差点は左でいいんでしょうか?」とか言ってて、俺が「全く意味不明!」とか連発してるって状況(笑)?」

それは面白い、と2人で暫し爆笑。

「あれ、ちょっと待て。また何か言ってるよ。うん?シー?シーブ?シーボ。シーボって言ってないか?何だろう?シーボって?ん?ピョウ?シーボ?ピョウ?」

「シーボって、これのことじゃないか、ひょっとして。「世博」」。

「あ、それだ!」

ここ上海では、万博ではなく、世界博覧会を略して世博って言ってるんだ、と納得。

「そうそう!Yes, Yes!」

やっと通じたと思ったのか、タクシードライバーも「うんうん」と頷き嬉しそうな表情だ。しかし、またしても何やら言っている。そして今回もどうやら、「ピョウ」を連発しているように聞こえる。

「ピョウって、、、、まさか、あれじゃない?「票」。チケットじゃない?」

「あ、なるほど!確かに」。

でも、何だろう?チケットを持ってるかって聞いてるのかな?

「No, we don't have the tickets!」

取りあえず英語で言っておく。多分通じてはいなだろうけれども。

「あれかな、ひょっとしてチケット持っている人とそうでない人で、入り口が違うとでもいいたいのかな?あれ、ちょっと待て、何か出して来たぞ」。

「あ、これ万博のチケットだよ?持ってるんだ、このドライバー!」

「いや、ちょっとまて。これ本物って保証はないよ。やめとこうよ」。

「いくらふっかけてくるのかな」。

そういって、まずは値段を聞いてみると、どうやら160ということが分かった。160ということは、このチケットに書いてあるのと同じ数字である。

「あれ。マージンとってないよ、これ。どうする?」。

「160っていうと、いくらだ?2000円ちょっとかあ。うん、ま、ここで買ってみよう」。

そう結論が出た頃には、既に我々は黄浦江にかかる盧浦大橋を渡り終え、万博会場を上から見下ろし、そこに並ぶ300台以上の観光バスが目に入って来たころだった。

「それじゃ、チケット代含めると、全部で350か」

と言うと、友人が止めた。

「ちょっと待った。このドライバーは要領を得ないドライバーだからさ、いきなり350渡したら絶対混乱するよ。タクシー代とチケット代とで2回に分けて払おう」。

そういうと友人が身を乗り出して代金を支払いはじめた。

「For the ride, RMB 30. Yes, yes」

「Okay, RMB 320 for リャン ticket、リャン ticket、いや、リャンピョウ」

いちおう分かるところだけは、中国語を混ぜてみる友人。しかし、こうして支払うと、見事、すんなり済ますことができた。

こうして会場に到着すると、早速入場ゲートまで向かう。果たしてこのチケットが本物なのかどうか。真実の瞬間、と思いながら、電車の自動改札のようなところに通すと、ちゃんと通過することができた。

そうして中に入ってみると、最初に見えて来たのが、赤い大きな伝統建築を思わせる中国のパビリオンであった。

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